認知症の発症が疑われる時期に作成された自筆証書遺言の無効確認を求めて訴訟を提起するとともに、最終的に取得を希望していた不動産を取得することができた事例

03 認知症の発症が疑われる時期に作成された自筆証書遺言の無効確認を求めて訴訟を提起するとともに、最終的に取得を希望していた不動産を取得することができた事例

  • 被相続人との関係

    姪甥

  • 相続人の人数

    10名〜

  • 主な遺産

    預貯金

    不動産

  • 遺言の有無

  • 主な争点

    遺言の有効性

  • 分割方法

    現物分割

    代償分割

  • 手続

    訴訟

相続関係図

被相続人:伯母  
相続人:甥姪

相続関係図

※一部簡略化しております。

事案

従前、被相続人である伯母が、自己に相続財産を任せる旨を述べていたにもかかわらず、後に認知症が疑われる時期に相手方らに有利な遺言書が作成されていたことが明らかになった。「正常な時期に伯母が話していた内容と遺言の内容が全く違う。少なくとも思い入れのある不動産は絶対に譲りたくない。」そのような思いで当事務所にご相談に来られました。

解決

遺言の無効確認を求めて訴訟を提起した。長谷川式簡易知能評価スケール等を証拠として提出し、遺言が無効である旨を主張した。しかし、相続人が20名以上存在した為、遺言が無効となった場合、改めて最初から遺産分割協議を行わざるを得ず、事件が長期化する恐れがあった。

そこで、遺言の有効性は認めつつ、訴訟に対応していた当事者間のみで遺産分割方法を協議し(なお、その他の当事者は訴訟欠席により敗訴)、最終的に依頼人も取得を希望していた不動産を取得する形で和解を成立させました。

  • 弁護士介入前

    遺言が存在していた為、遺産分割協議はできなかった

  • 弁護士介入後

    取得を希望していた不動産を全て取得することができた

弁護士の視点

遺言能力が無かったことを証明する証拠として、長谷川式簡易知能評価スケールを提出する場合があります。しかし、同証拠はあくまで簡易な診断であり、必ずしもこれのみをもって遺言能力が無かったことを裏付けるものではありません。また、本件のように相続人が多数にわたる場合は、いかに全体的な解決を迅速に行うことができるかという観点が重要になります。

本件は、遺言能力が無かったことの立証では万全ではなかったものの、最終的に当初から取得を希望していた不動産を和解において迅速に取得することができたという点で大きな成功を納めた事例です。