遺言により共有状態となった不動産について、不動産価値の半額に相当する金額を共有物分割訴訟で求め、概ね希望額で和解が成立した事例

06 遺言により共有状態となった不動産について、不動産価値の半額に相当する金額を共有物分割訴訟で求め、概ね希望額で和解が成立した事例

  • 被相続人との関係

  • 相続人の人数

    2〜10名

  • 主な遺産

    不動産

  • 遺言の有無

  • 主な争点

    遺言の有効性

    遺留分

    共有物分割

  • 分割方法

    代償分割

  • 手続

    訴訟

相続関係図

被相続人:母  
相続人:子(2名)

相続関係図

※一部簡略化しております。

事案

被相続人である母が、公正証書遺言を残して死亡したが、同遺言において一部の不動産が共有分割とされていた。そして、相手方となる相続人は同不動産を自宅兼店舗として利用しておる、現物分割は困難であった。「不動産は必要ないので、共有持ち分相当額を金銭で受け取りたい。」そのような思いで当事務所にご相談に来られました。

解決

当事務所の弁護士が、共有物分割訴訟を提起し、不動産価値の半額に相当する金額を求めました。他方で相手方は、遺言そのものの有効性を争ってきましたが、当該遺言が公正証書遺言であることや被相続人の遺言能力に疑いを挟む証拠も存在しなかった為、遺言が有効であることを前提に、当該不動産をどのように分割するかが争点となりました。

また、遺留分も問題となりましたが、遺留分の請求期間が過ぎており、この点も特段問題にはなりませんでした。最終的に、相手方が不動産価値の半額に相当する金額を取得する形で和解が成立しました。

  • 弁護士介入前

    遺言の無効・遺留分を主張し、協議が紛糾

  • 弁護士介入後

    不動産価値の半額に相当する金額を取得する形で和解成立

弁護士の視点

遺言によって、遺産分割が完了している場合、もはや遺産分割調停を申し立てることはできません。ただし、不動産その他の財産が引続き共有状態になっている場合は、共有物分割訴訟によって同状態を解消する手続を行う必要があります。分割方法は、現物分割、代償分割、換価分割等複数ございます。もっとも不動産は現物分割にはなじまず、他方で換価分割は不動産の価値が徒らに低く算定されてしまう恐れがあります。

本件は、そのような状況にある中、相手方に不動産価額の半額に相当する金額を支払わせる代償分割という形で迅速に解決することができたという点で大きな成功を納めた事例です。