弁護士コラム

成年後見コラム(4)「補助」とは

2017.06.25 弁護士 碓井晶子
 ニュースレター42号掲載

成年後見コラム(4)「補助」とは

1.はじめに

今月号では法定後見の3類型のうちの「補助」について詳細にご説明させていただきます。

2.保佐とは

補助とは、正確に申し上げるならば、①精神上の障害により②事理を弁識する能力が不十分である者を対象とする制度のことをいいます(民法第15条)

先月号でご説明させていただいた保佐制度が、①精神上の障害により②事理を弁識する能力が著しく不十分である者を対象とする制度であることと比較すると、保佐制度よりも判断能力が認められる者を対象としていることがわかっていただけるかと思います。

補助の制度は、成年後見制度ができる以前は保護の対象とされていなかった軽度の認知症・知的障害・精神障害等の状態にある者を対象としたものであり、本人が一人で重要な財産行為を適切に行えるか不安があり、本人の利益のためには誰かに代わってもらったほうが良いと思われる人を対象にしています。

3.援助者(補助人)の権限について

援助者(補助人)は、本人が望む一定の事項についてのみ(同意権や取消権は民法第13条1項記載の行為の一部に限る)、保佐人と同様に同意や取り消しや代理をして、本人を援助します。

ここで、注意していただきたいこととしては、二点あります。

まず、一点目は、補助開始の場合には、その申立てと一緒に、必ず同意権や代理権を補助人に与える申立てをしなければならないことです。

次に、二点目は、補助開始の審判をすることにも、補助人に同意権又は代理権を与えることにも、本人の同意が必要ということです。

4.まとめ

今までご説明させていただいた法定後見の3類型(後見、保佐、補助)を開始する審判手続の違いや成年後見人、保佐人、補助人に与えられる権限の違いをまとめると、以下のとおりとなります。

対象となる人(本人)
  • 後見

    判断能力が全くない人

  • 保佐

    判断能力が著しく不十分な人

  • 補助

    判断能力が不十分な人

申立てができる人(申立人)
  • 後見
    保佐
    補助

    本人、配偶者、親や子や孫等直系の親族、兄弟姉妹、おじ、おば、甥、姪、いとこ、配偶者の親・子・兄弟姉妹等

申立てについての本人の同意
  • 後見

    不要

  • 保佐

    不要

  • 補助

    必要

医師による鑑定
  • 後見

    原則として必要

  • 保佐

    原則として必要

  • 補助

    原則として不要

成年後見人等が同意又は取り消すことができる行為
  • 後見

    日常の買い物等の生活に関する行為以外の行為

  • 保佐

    重要な財産関係の権利を得喪する行為等 *1

  • 補助

    申立ての範囲内で裁判所が定める行為 *2 *3

成年後見人等に与えられる代理権
  • 後見

    財産に関する全ての法律行為

  • 保佐

    申立ての範囲内で裁判所が定める特定の行為 *3

  • 補助

    申立ての範囲内で裁判所が定める特定の行為 *3

  • 民法第13条1項記載の行為
  • 民法第13条1項記載の行為の一部に限る
  • 本人の同意が必要