「法定単純承認」とは何か

相続の承認は撤回できないのが原則

 この記事では、相続における「法定単純承認」が何かを説明します。
 その前に、相続の「単純承認」の効果を知る必要があります。相続が発生した場合、相続人は①単純承認、②放棄、③限定承認のいずれかを選択することとなります。①は文字通り相続を受け容れること、②は相続人となることを拒否すること、③はプラスの財産がマイナスの財産(債務)を上回る場合に限定して相続を承認するというものです。パッと見では③の限定承認が最も合理的なように見えますが、手続が非常に煩雑なためほとんど利用されていません。なお、「単純承認」とは、「限定承認」のように条件を限定することなく被相続人の権利・義務一切を包括的に引き継ぐことを指しています。
 そして、この承認や放棄は、一度行えば撤回できないのが原則です(民法第919条1項)。

法定単純承認とは

 「法定単純承認」とは、相続の「単純承認」がったものとみなすと法律が定めた行為のことです。
 法律(民法921条)は、

  1. 相続人が相続財産の全部又は一部を「処分」したとき
  2. 相続人が「熟慮期間内」に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき
  3. 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき
は、単純承認したものとみなすとしています。
 たとえば、相続財産として金庫の中にあった現金を勝手に使ったり、相続開始を知った時から3ヶ月以内に相続放棄の申述を行わなかった場合は、相続を単純承認したものと扱われます。

まとめ

 法定単純承認とは、法律によって単純承認したものとみなされる行為のことです。
 単純承認があったものとされると、その後の相続放棄は原則としてできなくなります。被相続人に借金などの債務がある可能性が存在する場合、相続開始後の行動には十分にご注意下さい。
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相続放棄の基礎知識

相続放棄について

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