なぜ相続問題は弁護士に相談する必要があるのか?
更新日:2022/05/09
なぜ相続問題は弁護士に相談する必要があるのか?
相続は、法務・税務・登記等の様々な視点から複雑な問題が絡んでいます。また、金額が大きくなりがちであり、手続や対応を間違えると多額の「損」をしかねません。その為、相続が発生した際は必ず一度は専門家にご相談されることをお勧めいたします。
(1) 行政書士・司法書士
多くの方は、「町の法律家」を思い浮かべた時に最初に頭によぎるのが行政書士又は司法書士の方では無いでしょうか。「いきなり弁護士に相談に行くのは敷居が高い」といった方が最初にご相談されるのが行政書士や司法書士の方だと思います。
行政書士の方のお仕事は基本的に「代書」をベースに、行政関係の書類作成をすることです。もちろん、遺産分割協議書や遺言書等を「代書」することが可能ですが、必ずしも相続に注力している方は多くありません(もちろん中には相続関係の書類作成に注力されている方もいらっしゃり一概にはいえません。)。
司法書士の方のお仕事は基本的に「代書」と「登記」です。遺産分割協議書や遺言執行書の「代書」が可能ですし、遺産に不動産が含まれる場合の「登記」の手続も可能です。また、一定の範囲で「代理業務」も可能ですが、上限の金額が決して高くはなく、金額が高くなりがちな相続案件での「代理」はできません。
以上のとおり、行政書士や司法書士の方の業務のメインは紛争性が無い又は極めて低いケースに限られます。
(2) 税理士
一定以上の相続財産がある場合にまずご相談されるのは税理士の方では無いでしょうか。相続税の申告を行わないケースもあり、相続財産の価値の評価という点でも大きな力になって下さります。
他方で、税理士の方の専門はあくまで「税務」であり、紛争性が高い場合に専門的なアドバイスはできません。
(3) その他
その他、色々な相続に関する肩書で相続のご相談に対応される方もいらっしゃいますが、いずれも国家資格ではない場合も多く、どこからどこまで責任を持って対応が可能なのか不明確なケースも少なくありません。もちろん、色々な方がいらっしゃいますので悪い方もいれば良い方もいらっしゃると思います。
しかしながら、相続は対応の仕方によっては大きな差がでる可能性がありますので、きちんと状況に応じた専門家にご相談されることをお勧めいたします。
(4) 弁護士
では、弁護士は何ができるのでしょうか。以下、詳しくご説明させていただきます。
1.代理業務が可能です
弁護士は、司法試験を合格した「法律」のエキスパートですので、法律上の知識・経験に基づいて様々なアドバイスが可能です。しかし、最も大きいのが、他の専門家と異なり、紛争に飛び込み、一方当事者の「代理人」として業務をすることができるといい点にあります。
相続問題は、関係者も多く、紛争も複雑かつ感情的になりがちです。できれば、直接相手と対峙することなく、嫌な交渉等を他の専門家に任せたいという方も少なくありません。この点、他の専門家を利用される場合、このような交渉は全てご自身で行い、交渉がまとまった段階でようやく遺産分割協議書の作成や登記をお願いすることになります(※相続税申告は協議がまとまる前段階でお願いするケースもございます。)。他方で、弁護士であれば、このような紛争段階から交渉を一任することができ、皆様の精神的負担を可能な限り軽減することができます。
2.相続手続の殆どに対応可能です。
少なくとも行政書士・司法書士が対応可能な業務の殆どを弁護士も対応することができる為(登記のみ司法書士の方にお願いすることになります。)、初期の段階から調停や訴訟等の紛争を見越して対応をすることが可能です。
相続手続は、早い場合は遺言書作成や生前贈与の段階から始まり、相続発生後は、検認、遺言執行、相続放棄等の比較的簡単な手続から、遺産分割調停、遺言無効確認訴訟、遺留分減殺請求訴訟、不当利得返還請求訴訟等の複雑かつ専門的な手続に至るまで長期間を要します。
手続ごとに違った専門家が介入してしまうと、方針や考え方に一貫性を欠きやすく、思わぬ取りこぼしも生じかねません。そうであるならば、できる限り早い段階から、殆どの手続に対応することが可能な弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
以上のとおり、他の相続人と少しでも争う可能性があるのであれば、早い段階から弁護士にご相談されることをお勧めいたします。