介護をしていた母親の預金口座からの出金を不法行為だと訴えられた事例
13new 介護をしていた母親の預金口座からの出金を不法行為だと訴えられた事例
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被相続人との関係
子
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相続人の人数
3〜5名
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主な遺産
預貯金
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遺言の有無
無
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主な争点
使途不明金
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分割方法
なし
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手続
訴訟
相続関係図
被相続人:母
相続人:子3名
※一部簡略化しております。
事案内容
依頼者は、介護施設に預けている母親の預金の管理をしていました。介護施設に預けている約5年間、依頼者は母親のもとに通い、母親が求めているものを買ったり、外部の病院に出かけるには外食をさせていました。母親の死後、相手方は、介護施設に預けている間の引出しを、不法行為として訴えました。
依頼者の主張
引き出したお金の使途は、母親の意向に沿った用途である又は母親のために使ったものである。加えて、母親が、介護を行っている依頼者に感謝して生前贈与をしていた。母親は、介護認定記録上は金銭管理能力がないとされているが、日常的なコミュニケーションをとることはできた。
相手方の主張
介護認定記録をみる限り、母親は金銭管理能力がない。依頼者の主張する用途の多くは、領収書のない用途であり認められない。
争点
母親の意思能力の有無及び領収書のない使途の妥当性
解決内容
施設入所記録等の他の資料から、母親の意思能力が入所後数年は維持されていたこと、領収書のない使途の多くが母親のために使ったものであることが認定されました。
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弁護士介入前
2000万円を超える引出しに不法行為が成立すると訴えられていた
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弁護士介入後
出金のうち約1200万円について、母親の意向である又は母親のために使ったものであることが認定された
弁護士のコメント
本事例は、被相続人の生前の預金管理をめぐるいわゆる「使途不明金」に係る紛争でした。兄弟仲が悪くない場合、介護のためのすべての領収書を保存しているということは稀です。しかし、直接の領収書がなくとも、施設の記録などを丹念に調査して被相続人と介護をしている相続人の関係を洗い出したことで、「不法行為」とされる出金を大幅に減額することができました。
わかりやすい証拠がなくとも、依頼者と弁護士の協力でより良い結果に繋げることができた例です。