相続の「法定単純承認」とは?手続きは必要?

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更新日:2024/11/11

相続の承認は撤回できないのが原則

 この記事では、相続における「法定単純承認」が何かを説明します。

 その前に、相続の「単純承認」の効果を知る必要があります。

 相続が発生した場合、相続人は①単純承認、②放棄、③限定承認のいずれかを選択することとなります。

  • ①単純承認
    文字通り相続を受け容れること
  • ②放棄
    相続人となることを拒否すること
  • ③限定承認
    プラスの財産がマイナスの財産(債務)を上回る場合に限定して相続を承認すること

 パッと見では③の限定承認が最も合理的なように見えますが、手続が非常に煩雑なためほとんど利用されていません。

 なお、「単純承認」とは、「限定承認」のように条件を限定することなく被相続人の権利・義務一切を包括的に引き継ぐことを指しています。

 そして、この承認や放棄は、一度行えば撤回できないのが原則です(民法第919条1項)。

法定単純承認とは?手続きは必要?

 「法定単純承認」とは、相続の「単純承認」がったものとみなすと法律が定めた行為のことです。

 法律(民法921条)は、

  1. 相続人が相続財産の全部又は一部を「処分」したとき
  2. 相続人が「熟慮期間内」に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき
  3. 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき

は、単純承認したものとみなすとしています。

 たとえば、相続財産として金庫の中にあった現金を勝手に使ったり、相続開始を知った時から3ヶ月以内に相続放棄の申述を行わなかった場合は、相続を単純承認したものと扱われます。

 そのため、特別な手続きは不要です。

まとめ

 法定単純承認とは、法律によって単純承認したものとみなされる行為のことです。

 単純承認があったものとされると、その後の相続放棄は原則としてできなくなります。被相続人に借金などの債務がある可能性が存在する場合、相続開始後の行動には十分にご注意下さい。

 弁護士法人グレイスには、相続に精通した弁護士が多数在籍しております。

 相続放棄について少しでも疑問がある方は、是非当事務所にご相談下さい。初回法律相談は30分間無料で承っております。

【著者情報】


家事部 部長 福岡県弁護士会(弁護士登録番号:45028)

2007年 慶應義塾大学法学部 卒業

2009年 慶應義塾大学法科大学院法務研究科 修了

2010年に司法試験に合格し、東京都内の法律事務所を経て、2014年より弁護士法人グレイスにて勤務

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