未成年の子供が相続放棄とは?法定代理人・特別代理人・親権者の手続きと注意点
更新日:2024/11/07
未成年者は単独で相続放棄できない
私法上の意思表示(財産等に関する意思表示)は、行為能力を備えている必要があり、それは、相続放棄の場合も同様です。
未成年者は民法上、行為能力を備えていない者(制限行為能力者)であるため、未成年者が単独で相続放棄を行うことはできません。
親権者が法定代理人として代わりに相続放棄の意思表示を行う。
では、どうすれば良いのかというと、法定代理人である親権者が未成年者に変わって相続放棄を行います。
両親が既に他界しているなどして親権者がいない場合は、家庭裁判所が選任する未成年後見人が法定代理人として相続放棄を行う権限を持ちます。
利益相反行為の禁止と特別代理人
親が子どものために法定代理人親権者として子の相続放棄の手続を行う際の注意点として、「利益相反行為」の禁止があります。
親権者は、自らの利害と対立する行為について子を代理できないということです。
また、子が2人以上いる場合、この子らの利害が対立する場合にはその全員について代理することができません。
こういった場合は、家庭裁判所の審判を経て、他の適当な人物を「特別代理人」として選任してもらい、この特別代理人が子の法定代理人として子のために子に変わって意思表示を行うこととなります。
利益相反行為に当たるか否かは問題となる行為を外形から見て形式的・客観的に判断します。
父が他界後、母が未成年の子の相続放棄を行うケース
父が死亡し、その妻である母と子2人の計3人が法定相続人となったとします。この場合、母が子2人の法定代理人親権者として子2人の相続放棄を行うことは原則的には利益相反行為に該当します。
子が相続権を失うことによって母自身の法定相続分が増えて利益を得てしまうためです。
しかし、母自身もこれと同時もしくはそれ以前に相続放棄を行なっている場合には、子2人の相続放棄によっても母が相続人となることはないため、母と子の利益が相反することはありません。
したがって、この場合、母の行動は利益相反に該当せず、特別代理人を必要とすることなく子らの相続放棄の手続を行うことができます。
このように、親自身が既に相続放棄を行なっている場合、利益相反には該当しないというのが原則的な考え方です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ここでは、未成年者の相続放棄に関する問題を扱いました。
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