相続したくない!土地や家などの負の遺産の対処法を解説
更新日:2024/11/01
遺産を相続したくない場合の対応
最もシンプルな方法は、相続放棄という手続きをとることです。
相続放棄を行うことで、あなたは初めから相続人でなかったことになります。
遺産分割協議の必要もなくなり、相続税の納付義務も負いません。当然、被相続人の債務をあなたが払う必要もなくなります。
その他に考えられる手段として、「相続分の譲渡」や「相続分の放棄」というものもあります。
相続分の譲渡
相続分の譲渡とは、自分の相続分を相続人や相続人以外の第三者に譲ることを言います。この譲渡は、有償・無償のどちらでもかまいません。
相続分を譲渡した後は、自己の相続分がなくなりますので遺産分割協議に参加する必要はなくなります。
相続放棄との違いは、相続人の地位が残るか否かという点です。
相続放棄は相続開始時点に遡って相続人の地位を失いますが、相続分の譲渡は、相続人の地位を前提としてその相続分(持分)を譲るため、相続人の地位に由来する法律問題を残します。
それが、相続債権者(被相続人に対して債権を有していた債権者)との関係です。相続分の譲渡が行われた場合、譲渡人と譲受人は、相続債権者に対して併存的債務引受を行ったとみるのが通常です。したがって、相続分の譲渡を行った譲渡人は、譲受人と連帯して、相続債権者に対して弁済を行う義務を負います。
相続分の放棄
相続分の放棄とは、相続人が自己の相続分を放棄することです。相続放棄と名称が似ていますが、両者は、明確に異なる法律行為です。
先に述べたように相続放棄は、相続開始時に遡って相続人の地位を失うものですが、相続分の放棄は、あくまでも相続人の地位を前提として自らの相続分のみを放棄するものです。
したがって、上で説明した相続分の譲渡と同様、相続債権者に対する責任は依然として残ってしまいます。
なお、相続分の譲渡と相続分の放棄は、相続分を特定の第三者に譲渡するか放棄するかの違いです。
相続分の譲渡の場合、特定の第三者に自己の相続分をそのまま承継できますが、相続分の放棄の場合、放棄された相続分は法定相続分の割合に応じて他の相続人に再分配されます。
まとめ
これら3つの手段のうちどれを選択するかは遺産を相続したくない理由によるかと思いますが、もし、負の遺産(被相続人の借金など)を相続したくないという点にあるのであれば、相続放棄が最も妥当な選択になるかと思います。