弁護士コラム

成年後見コラム(5)「任意後見」とは

2017.07.25 弁護士 碓井 晶子 ニュースレター43号掲載

「任意後見」とは

1.はじめに

今月号では任意後見制度についてご説明させていただきます。

2.任意後見制度とは

任意後見制度とは、本人が契約締結に必要な判断能力を有している時点で、将来の判断能力低下後の保護のあり方と保護をする者(任意後見人)を、本人自らが事前の任意の契約によって決めておく制度のことをいいます(任意後見契約に関する法律第2条第1号)

すなわち、まず、本人の判断能力が低下する前に、本人と任意後見人にする予定の人とが任意後見契約を締結します。ここでいう「任意後見契約」とは、本人が、精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害等)により判断能力が不十分な状況になったときに、自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部または一部の代理権を任意後見人に付与する委任契約です。

そして、本人の判断能力が不十分になった後、本人、配偶者、四親等内の親族または任意後見受任者の請求により、家庭裁判所が任意後見監督人を選任し、その時から「任意後見契約」の効力が生じることになります。

なお、任意後見契約は、公証人の作成する公正証書により締結しなければなりません(任意後見3条)。これは、公証人が関与することによって適法かつ有効な契約が締結されることを担保するためです。任意後見契約の公正証書が作成されると、公証人が法務局へ登記を嘱託し、任意後見契約の登記がなされます。そのため、本人や任意後見受任者等関係者が登記の手続きをする必要はありません。

3.援助者(任意後見人)の権限について

任意後見人は、同意権・取消権はなく、任意後見契約に基づく代理権のみが付与されます。

4.任意後見監督人の職務等

任意後見監督人は、その名前のとおり、①任意後見人の事務を監督します(任意後見7条1項1号)
その上で、②任意後見監督人は、任意後見人に対し事務の報告を求め、または任意後見人の事務もしくは本人の財産の状況を調査して(任意後見7条2項)、家庭裁判所に対して定期的に報告しなければなりません(任意後見7条1項2号)。他にも、任意後見監督人には、③急迫の事情がある場合に、任意後見人の代理権の範囲内において必要な処分をすること(任意後見7条1項3号)や、④任意後見人またはその代表する者と本人との利益が相反する行為について本人を代表すること等の職務があります(任意後見7条1項4号)

5.任意後見契約の解除について

(1)任意後見監督人選任前の場合
本人または任意後見人受任者は、いつでも、公証人の認証(公証58条以下)を受けた書面により、任意後見契約を解除することができます(任意後見9条1項)。必ずしも公正証書による必要はないものの、当事者の真意による解除であることを担保する趣旨で、公証人の関与が必要とされています。

(2)任意後見監督人選任後の場合
本人または任意後見人は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、任意後見契約を解除することができます(任意後見9条2項)。このように家庭裁判所の関与を必要としたのは、本人の保護を図るためです。

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