弁護士法人グレイスには相続事件に精通した弁護士が複数在籍し、各弁護士が1件1件責任を持った対応を行っています。
相続放棄は、間違いが行った際のリスクが極めて高い手続ですが、そうしたミスが万に一つも発生することがないよう、我々は万全の体制で各事件にあたっております。
ご依頼いただくだけで
全ての手続をこちらで行います
全国対応
面倒な
手続不要の
フルサポート
相談放棄に
詳しい弁護士が
対応!
相続放棄は、戸籍の取り寄せを決められた期間以内に行う必要があり、
そのような手続きを慣れていない方にとっては容易ではないと思います。
ご心配な部分がある方は
弁護士にご相談ください
相続放棄とは、一言で言うと、相続人が故人(被相続人)の相続人の地位を放棄する手続です。ポイントは、個別の遺産に対する権利の放棄ではなく、「そもそも相続人ではなくなる」ということです。これにより、相続にまつわる権利も義務も全て取得せず、負担もしないこととなります。特定の遺産だけを対象に相続放棄を行うことはできません。
相続放棄のメリットとしては、故人(被相続人)の借金などの債務を引き継がなくてよくなることです。また、遺産分割のトラブルからも解放されます。遺産分割協議は、相続人たちにとってとても大きなストレスになりがちですが、そうしたストレスから逃れることができます。当初から相続放棄をすることを決めている場合、負担の大きな遺産調査や債務の調査を行う必要もなくなります。
相続放棄のデメリットは、故人(被相続人)に債務を超える財産があった場合に損をするかもしれないということです。プラスの財産が100万円あって、借金が90万円あると言うような場合、差し引きすると10万円のプラスが遺産として残ります。こういった場合は、相続放棄しなければ、残った差額のプラス財産について法定相続分に応じた利益を受け取ることができますので、相続放棄すれば損となります。
※遺言が存在しないことを前提に説明しています。
相続放棄の手続を行う際は、家庭裁判所に相続放棄の申立てを行います。
家庭裁判所は、各都道府県ごとに存在していますが、故人(被相続人)の最後の住所地を管轄する裁判所に申し立てる必要があります。また、各都道府県の中には、本庁の他に支部が存在して事件の割り振りを決めています。支部に提出する必要があるかどうかは、各都道府県ごとの家庭裁判所ごとに確認する必要があります。
この際に、申立てを行う方が、相続人の地位を裏付ける資料(戸籍謄本など)を準備する必要があります。他の方が相続放棄したことによって初めて相続人になったと言う方は、相続放棄を行なった方の相続放棄受理証明書を取得して添付する必要があります。
相続放棄の申立ては、相続開始から3カ月以内に行わなければなりません。何もしないままこの期間が過ぎると相続を「単純承認」したものと扱われてしまいますので気をつけてください。
相続放棄は一度行った場合、事後に撤回することができないのが原則ですが、特殊な事情があれば後から取り消すことができる場合があります。
相続放棄には期限があります。期限は3ヶ月です。何もしないままこの期限を過ぎた場合、基本的に相続放棄を行うことはできませんので注意が必要です。
では、この3ヶ月の期限がいつからスタートするかですが、法律上は「自己のために相続の開始があったことを知った時」とされています(民法915条1項)。分かりづらい表現ですが、原則は、故人(被相続人)の死亡を知った時とされています。ただし、先順位の相続人が相続放棄したことによって後順位の方が相続人の地位に立つような場合(例えば、被相続人の子が相続放棄し、直系尊属が存在しないため被相続人の兄弟姉妹が相続人となるような場合)は、先順位者が相続放棄したことを知った時が「自己のために相続の開始があったことを知った時」になります。
相続放棄を行った場合、相続放棄を行なった方は、相続開始時にさかのぼって相続人でなかったことになります。
そのため、税法上も、相続放棄を行なった相続人は、相続税を負わないことになります。当然、申告義務もありません。ご安心ください。
相続放棄を法律の専門家である弁護士に依頼するメリットとして次のような点が挙げられます。
相続放棄では、関係戸籍の収集、管轄裁判所の確認、相続放棄申述書の作成・提出、裁判所から指示があれば親族関係図の作成、熟慮期間内の手続不能の際は期間伸長審判の申立てなど行うべき事柄が色々あります。
弁護士法人グレイスでは、ご依頼いただければこれらの手続すべてを責任を持って行います。
不明な点があれば、いつでも電話・メールにてご説明差し上げますのでご安心いただくことができます。
弁護士法人グレイスには相続事件に精通した弁護士が複数在籍し、各弁護士が1件1件責任を持った対応を行っています。
相続放棄は、間違いが行った際のリスクが極めて高い手続ですが、そうしたミスが万に一つも発生することがないよう、我々は万全の体制で各事件にあたっております。
簡単な面談の上、ご依頼をいただくだけで後はすべて弁護士法人グレイスが対応いたします。
面談は、直接ご来所いただく必要はなく、ZoomやLINEによるビデオ通話面談で行うことができます。
契約手続もEメールを通じた電子契約が可能ですので、手続自体がとても簡単です。
弁護士法人グレイスでは迅速な仕事を心がけております。
少しでも早くクライアントにご安心いただけるよう、契約後直ちに仕事に着手いたします。
「相続放棄」は、初動の対応を誤ってしまうと
予期せず多大な損害を被りかねません。
少しでも相続放棄をご検討中の方は
一度当事務所にご相談下さい。
当事務所にご依頼くださり、結果への満足度、弁護士やパラリーガルの対応などについて、アンケートをお願いいたしました。
同じような悩みをお持ちだった方々の「生の声」を、ぜひご覧ください。
voice1
困っている知人がいたら紹介します
続きを読む
相続放棄とは、法律的に言えば、相続人としての地位を自ら放棄する行為といえます。
そもそも「相続」とは、人が死亡した場合、その亡くなった方が生前に持っていた権利や義務を、その方と一定の近親関係にある別の人が引き継ぐことをいいます。
亡くなった方を「被相続人」、その方の権利や義務を引き継ぐ方を「相続人」と言い、相続人が被相続人の権利・義務を引き継ぐことを「相続する」と呼ぶのです。
そして、人が亡くなった時点をもって、その人を被相続人とする「相続が開始した」といいます。
相続放棄の話に戻りますが、相続放棄は相続人の地位を放棄することですので、相続人しか行うことができません。また、「相続人」かどうかは相続が開始するまで、つまり被相続人が亡くなるまで分かりません。そのため、相続放棄は、被相続人が亡くなる前に行うことはできません。
相続放棄は、管轄の家庭裁判所に相続放棄の申述を行います。管轄を誤った場合は、受理されない可能性があるため注意が必要です。
相続放棄の管轄家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となります。各地の管轄裁判所は、こちらから確認することが可能です。
https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/kankatu/index.html
管轄家庭裁判所が分かったら、次は、相続放棄申述書を準備する必要があります。
相続放棄の申述は口頭で行うことが認められておらず、書面を提出する必要があるからです。
相続放棄申述書は、こちらからダウンロードすることが可能です。
相続放棄申述書(pdfファイル)はこちら
相続放棄の申述は、この相続放棄申述書に800円分の収入印紙を貼り、添付資料として次のものを添えて提出する必要があります。
・被相続人の死亡日と最後の住所地が分かる資料(住民票除票など)
・相続関係図
・相続関係図の裏付けとなる戸籍関係資料一式
・切手
このうち、戸籍関係資料は、あなたの相続人たる地位を証明するためのものです。
相続関係図は相続関係が簡単な場合は不要とされることもあります。
裁判所に予納する切手の金額は各家庭裁判所ごとに異なるため、厳密には事前に確認する必要がありますが、84円分を求める裁判所が多いように思います。
相続放棄ができる期間は、相続が開始されたこと、つまり被相続人が亡くなったことを知ったときから3ヶ月以内です。1日でも過ぎた場合、相続放棄の申述は無効となりますので注意が必要です。
相続放棄の初動が遅れる、あるいは、複雑な相続関係であるため時間を要するなどの理由から3ヶ月以内に申述の準備が整わないこともあります。
そうした場合でも諦める必要はありません。合理的な理由がある限り、管轄家庭裁判所に対して申述期間の伸長審判を申し出ることで申述期間を1~3ヶ月程度延ばすことが可能です。
伸長審判の申立ては、申立書に800円分の収入印紙を貼り、予納郵券を納めて行います。予納郵券の額は各裁判所によって異なりますが、84円分が求められることが多いです。
最もシンプルな方法は、相続放棄という手続をとることです。
相続放棄を行うことで、あなたは初めから相続人でなかったことになります。
遺産分割協議の必要もなくなり、相続税の納付義務も負いません。当然、被相続人の債務をあなたが払う必要もなくなります。
その他に考えられる手段として、「相続分の譲渡」や「相続分の放棄」というものもあります。
相続分の譲渡とは、自分の相続分を相続人や相続人以外の第三者に譲ることを言います。この譲渡は、有償・無償のどちらでもかまいません。相続分を譲渡した後は、自己の相続分がなくなりますので遺産分割協議に参加する必要はなくなります。相続放棄との違いは、相続人の地位が残るか否かという点です。相続放棄は相続開始時点に遡って相続人の地位を失いますが、相続分の譲渡は、相続人の地位を前提としてその相続分(持分)を譲るため、相続人の地位に由来する法律問題を残します。それが、相続債権者(被相続人に対して債権を有していた債権者)との関係です。相続分の譲渡が行われた場合、譲渡人と譲受人は、相続債権者に対して併存的債務引受を行ったとみるのが通常です。したがって、相続分の譲渡を行った譲渡人は、譲受人と連帯して、相続債権者に対して弁済を行う義務を負います。
相続分の放棄とは、相続人が自己の相続分を放棄することです。相続放棄と名称が似ていますが、両者は、明確に異なる法律行為です。
先に述べたように相続放棄は、相続開始時に遡って相続人の地位を失うものですが、相続分の放棄は、あくまでも相続人の地位を前提として自らの相続分のみを放棄するものです。したがって、上で説明した相続分の譲渡と同様、相続債権者に対する責任は依然として残ってしまいます。
なお、相続分の譲渡と相続分の放棄は、相続分を特定の第三者に譲渡するか放棄するかの違いです。相続分の譲渡の場合、特定の第三者に自己の相続分をそのまま承継できますが、相続分の放棄の場合、放棄された相続分は法定相続分の割合に応じて他の相続人に再分配されます。
これら3つの手段のうちどれを選択するかは遺産を相続したくない理由によるかと思いますが、もし、負の遺産(被相続人の借金など)を相続したくないという点にあるのであれば、相続放棄が最も妥当な選択になるかと思います。
相続放棄は、一般に以下の流れで行います。
1 相続放棄をするかどうかの判断
2 必要書類の収集
3 管轄裁判所の確認
4 相続放棄申述書の作成
5 管轄裁判所に申述書と添付資料を提出
6 裁判所からの照会書へ回答
7 相続放棄受理通知書の受領
詳しくは以下のページをご覧ください。
https://kagoshima-sozoku.com/souzoku-houki/houki-column/2534/相続放棄には、一般に以下の書類を管轄の家庭裁判所に提出することが必要となります。
1 相続放棄申述書(印紙が貼られたもの)
2 被相続人の除籍全部事項証明書
3 被相続人の住民票除票(もしくは戸籍附票)
4 申述者の相続人たる地位を裏付ける資料
5 予納郵券(切手)
また続柄によっても必要書類が異なるため、以下の記事で詳しく開設いたします。
相続放棄の必要書類について兄弟・子・孫などの続柄別に解説相続財産としてめぼしい財産が存在せず、かといって借金もなさそう。あるのは山林だけというようなケースでは、相続放棄を行った方がよろしいでしょうか。
山林の価値自体が異なりますので一概には言えませんが、一般論としては相続放棄を行った方がメリットになる可能性が高いと思います。
現代社会において山林は資源としての活用価値が乏しく、不動産としての市場価値がつかないものがほとんどです。「ただでも良いから貰ってくれ」といってもなかなか引き取り手が現れないというケースがほとんどかと思います。
一方、相続を通じてひとたび山林を所有した場合、その後毎年固定資産税の支払いを負担するほか、その山林に起因して何か問題が起きた場合には賠償責任が問われる可能性が生じます。例えば、相続した山林の木が台風によって倒れ、道を塞いでしまった場合、倒木を処分する費用を所有者(別途占有者がいる場合は占有者)が負担しなければならなくなります。田んぼの納屋に木が倒れて納屋やその中にしまわれていた農機具を破損させた場合、その賠償も行わなければならなくなります。
所有している崖が地滑りを起こし、崖下の民家を破壊したといった場合には目も当てられない状況になりかねません。
こうした不動産保有に伴うリスクに鑑みれば、市場価値がほとんどない山林しか相続財産がないようなケースでは、負債(借金)の有無にかかわらず相続放棄を検討すべきかと思います。
被相続人が相続人の一人を保険金受取人とする生命保険(死亡保険)をかけている一方、被相続人に多額の債務が存在するケースがあります。
では、保険金受取人と指定された相続人は、相続放棄を行なった上で死亡保険金のみを受け取りのみを行うことはできるのでしょうか。
結論から言えば、できます。
生命保険の保険金は、受取人として指定された者の固有の権利であって、相続財産(遺産)ではないからです。
相続放棄の手続によって放棄されるのは、「相続財産」(遺産)に限られ、相続人の固有財産には影響を与えません。したがって、相続人が相続放棄を行なったとしても、相続人の固有の権利である死亡保険金請求権は依然として保有し続けることができます。
相続放棄の効果は、相続開始時点(被相続人の死亡時点)に遡って当初から相続人でなかったことになるというものです。
では、相続放棄を行なった者は、相続財産に対して一切の責任を負わずに済むでしょうか。
原則的にはYESですが、一部の場合には相続財産の管理義務が残ってしまいます。
この点は、近似の法改正によって扱いが異なっています。
すなわち、2023年3月31日までに適用されていた旧民法940条1項では、以下のような規定となっています。
旧民法940条 1項
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
この規定によれば、相続放棄を行なった者も、他の相続人が相続財産を管理し始めるまでの間は、引き続き相続財産を管理すべき義務があると規定されています。すなわち、たとえば遺産の中に崖地があり、崖が崩れて崖下の民家を破壊したという場合には、管理義務違反として賠償請求を受ける可能性がありました。
もっとも、民法940条1項は法改正が行われ、2024年4月1日に新法が施行されています。新民法940条1項の内容は、以下のようなものです。
新民法940条1項
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意を持って、その財産を保存しなければならない。
現在施行されている新たな法律では、相続放棄を行なった者が相続財産について責任を負うのは、「放棄の時に…現に占有しているとき」だけに限定されました。「現に占有」というのは、事実上支配していることを指します。たとえば、被相続人名義の自宅に相続人の一人が住んでいるような場合には、当該不動産を事実上支配しているため「現に占有」という要件を満たします。その場合、たとえ相続放棄を行なったとしても、当該財産に対する保存義務を負います。したがって、その自宅の鍵を他の相続人や相続財産清算人に渡すことなく家を出た後、第三者が自宅に侵入して中の財産を窃盗したり、建物を棄損したような場合には、相続放棄を行なった相続人は、保存義務違反による賠償請求を他の相続人や相続債権者から受ける可能性があります。
他方、自分が占有していない相続財産について、相続放棄を行なった者は何らの責任も負いません。したがって、相続財産にまつわる一切の責任から解放されることとなります。
相続放棄は、プラスの相続財産もマイナスの相続財産も含めて相続財産を失う行為です。
そうしますと、プラスの財産は相続人が被相続人から生前贈与を受け、マイナスの財産だけ残して被相続人が亡くなった場合、相続人はとても得をすることになります。
では、そのようなことが許されるのでしょうか。
結論から言えば、相続放棄自体は有効となりますが、生前贈与の方は、後から取り消される可能性がある、ということになります。
相続放棄と生前贈与は、互いに独立した法律行為であり、それぞれに対して有効性が問題となります。相続放棄自体は、生前の行為に関わらず行うことができるため、冒頭のようなプラスの財産全てを受け取って借金のみを残して相続放棄を行う、といったような極端なケースでも形式的には有効です(信義則や公序良俗違反といった一般条項によって裁判所が無効と判断する可能性は残りますが、過去の裁判例で知られているものはありません。)。
他方、生前贈与の有効性については別論です。その生前贈与を行うことで債権者を害することを知った上で被相続人や相続人が生前贈与を行った場合、それは424条の詐害行為取消の対象となる可能性があるからです。被相続人の死期が近いことを悟った上で、相続人と通謀してプラスの財産の大半を生前贈与し、相続人がその後相続放棄を行った、というようなケースでは、当該生前贈与行為は詐害行為と評価され、取消の対象となる可能性が高いです。
生前贈与が取り消された場合、受益者である相続人は、贈与を受けた財産を被相続人(相続財産清算人)に返還する必要があります。なお、取消債権者が金銭の支払いを求める場合には、取消債権者は直接的に受益者から金銭を受領して自己の債権の弁済に充てることができます。
借金をたくさん抱えていそうな兄弟姉妹がお亡くなりになった場合、少し心配な気持ちになりますね。自分も相続放棄をしなければならないのではないかと不安に思われる方もいらっしゃると思います。
では、被相続人の兄弟姉妹が相続放棄を行わなければならない場合とはどういったケースでしょうか。
兄弟姉妹が相続放棄を行わなければならないのは、被相続人の子や直系尊属が存在しない場合、あるいは相続放棄を行っている場合です。
法定相続人には順位という概念があり、1位は子、2位が直系尊属、3位が兄弟姉妹となっています。2位の者は1位の者が存在しないか、あるいは相続放棄を行っている場合に初めて相続人の地位に立ち、3位の者は1位及び2位の者が存在しないか、あるいは相続放棄を行っている場合に初めて相続人の地位に立ちます。ちなみに配偶者は、常に相続人となります。
したがって、兄弟姉妹が相続放棄を行う必要があるのは、被相続人が死亡した時点において被相続人の子や直系尊属が存在しない(そもそも出生していない場合のほか、死亡を含みます。)か、存在したが相続放棄を行った場合ということになります。
代襲相続とは、被相続人が死亡する以前(つまり、相続開始以前)に、相続人となるべき者が死亡していたり、一定の事由によって相続権を失ったりしていた場合に、相続権を失った者の子で被相続人の直系卑属に当たる際、この者が相続権を失った親に代わって同順位で相続人の地位に立つことを言います。
では、相続放棄に関して代襲相続はどういった関係があるでしょうか。
まず、親が相続放棄を行った場合にその子が代襲相続人となるかという問題がありますが、結論として代襲相続は起こりません。例えば祖父母が多額の借金を残して死亡した場合、親が相続放棄を行えば、子が親に代わって祖父母の借金を引き継ぐことはありません。子が何らかの手続を取る必要もありません。
次に、親が死亡した際に子が親の相続について相続放棄を行った場合、祖父母を代襲相続することができるかという問題があります。
これは、親と祖父母の死亡の前後関係によって変わります。親が先に死亡している場合、子は祖父母を代襲相続できます。一方、祖父母が先に死亡している場合、子が親の相続について相続放棄を行えば、子は祖父母の遺産を承継できません。まず、親が先に死亡している場合、代襲相続という問題になりません。代襲相続とは、あくまでも相続人となるべき者が被相続人よりも先に死亡している場合に起きるものだからです。祖父母が死亡し、その後に親が死亡するという状況は「数次相続」と呼ばれ、親の財産の一部に祖父母の財産に対する相続権が含まれることになります。子が親の財産について相続放棄を行えば、放棄の対象となる相続財産には親が祖父母から承継した相続財産を含みますので、子は親の財産だけでなく親が有していた祖父母の相続財産に対する権利も放棄することになるのです。このことは、相続放棄の時点で親が他の相続人との間で遺産分割協議を済ませていたか否かによっても変わりません。
相続放棄を行った場合、被相続人が入るお墓はどうなるのでしょうか。
先祖代々受け継いだ墓や仏壇を親が所有して管理していたが、多額の借金があるため、相続放棄を行いたいが、その場合、墓や仏壇の所有権はどうなるでしょうか。
そんなお墓や仏壇に関する疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
結論から言えば、相続放棄を行ったとしてもお墓や仏壇を承継することは可能です。
墓や仏壇その他の仏具は、民法上「祭祀財産」と言われ、通常の相続財産とは異なる扱いを受けます。相続財産は相続人によって承継されますが、祭祀財産は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰する者が承継すると定められています(民法第897条)。
したがって、相続放棄を行ったとしても祭祀財産の所有権の帰属には影響が及びません。相続放棄を行った者が慣習に従い祖先の祭祀を主宰する者と呼べる立場にあれば、お墓や仏具を承継することができ、当然、被相続人のお骨をその墓に埋葬したり、仏壇を自宅において故人を弔うことも可能です。
多額の借金を残して親族が死亡し、自分が相続人となった場合、まず考えるのは相続放棄かと思います。
では、相続放棄を行った場合、遺族年金は受け取れるのでしょうか。
結論から言えば、受け取れます。
遺族年金は、国民年金法などの法律に基づいて、被保険者が死亡した場合にその遺族に対して支給される年金のことですが、これは遺族の生活保障を目的に、相続とは別の理屈に基づき、法律によって認められた遺族の固有の権利と理解されています。したがって、相続放棄を行った場合でも、受給することができるのです。
同様の理屈により、未支給年金についても、相続放棄に関わらず受給できます。
相続放棄を考えている場合、葬式費用を遺産(相続財産)から支払ってはいけないという話を耳にされた方もいらっしゃるかと思います。
では、その話は本当でしょうか。
結論としては、半分本当、半分グレーといったものかと思います。
相続放棄を行う際は、単純承認と評価され得る相続財産の処分行為を行ってはなりません。相続財産の費消行為は、単純承認と評価される可能性があるため、相続放棄を考えるのであればまず避けるべきであり、その点で先ほどの話は当たっております。他方、過去の裁判例では、葬式の規模や内容に相当性があるものであれば、単純承認に当たらないとした例が複数あります。葬式の規模・内容としてどの程度まで相当なのかという点は不明確であり、葬式費用を相続財産から支出しても単純承認とみなされない規模・内容が不明確という点で依然としてリスクは残るため、半分はグレーという結論になります。
なお、そもそも葬儀費用は誰が負担すべきものなのか、という点も問題となるため少し触れます。まず、葬儀費用の負担者を定めた法律はありません。つまり、解釈に委ねられるということになります。
この問題は、まず、葬儀社との契約を誰が行っているかという点で状況が異なります。被相続人が生前に葬儀社と契約を行っていた場合には、葬儀社への支払債務は被相続人自身が負うものと考えられるため、葬儀費用は相続財産から支出されるべきものとなります。他方、被相続人が生前にそのような契約を結んでおらず、遺族の誰かが葬儀社と契約して葬儀を行った場合には、その契約者(喪主)が葬儀費用の負担者となります。他の相続人が任意で支払いを申し出たり、遺産分割協議の中で相続財産の中で清算することが決まれば事後的に喪主の負担は軽減しますが、そうでない場合は、喪主が最終的に単独で負担することとなります(香典は喪主への個人的な贈与となります。)。過去の高等裁判所の裁判例でも同様の結論が示されています(名古屋高等裁判所平成23年(ネ)968号・平成24年3月29日判決)。